令和3年4月に院長を拝命しました高木宏と申します。
平成9年4月に当時は愛知県立城山病院という名前であった当院に赴任し、24年が過ぎました。私が赴任した当初から当院は愛知県の精神科医療の中核として存在していましたが、この間その医療の中身は大きく変わりました。平成6年度の平均在院日数412.3日、病床回転率0.88、入院10年以上の患者数116人、31.0%と慢性期主体の精神医療でしたが、令和元年度の平均在院日数は86.4日、回転率4.23、入院10年以上の患者数10人、6.3%と圧倒的な急性期主体の精神医療となりました。
また量的な変化だけでなく、平成30年8月に完了した新病院建設により、医療観察法指定入院病棟、指定通院病院、児童青年期病棟と児童青年期デイケア、成人発達障害外来、ACTなどの新しい機能が加わり、修正型電気痙攣療法やクロザリルによる治療抵抗性統合失調症に対する治療、持効性注射薬の積極的な導入による再入院の防止などの先進的な精神科治療は、年々その数が増えています。
前院長である粉川進先生が中心となってこのような治療環境の整備がなされた後、今後の当院に課せられた課題は、より充実した医療内容にしていくことだと考えています。平成17年から始まった医療観察法による医療は、多職種チームと患者さん自身による治療の積極的な参加に特徴があります。それは患者さんやご家族だけでなく、治療スタッフに安心感と充実感、そして治療効果を高めるものであると感じていますが、その経験を一般精神科医療にも広げていきたいと考えております。
県民の皆様、地域の皆様、そして関係諸方面の皆様には、これまでも多大なご支援やご声援をいただき感謝しております。
皆様におかれましては、今後ともこれまで以上のご支援をお願い申し上げます。

愛知県精神医療センター  院長 高木 宏